第三部のまとめ

第三部は、
心の発達段階と、心の障害についてです。
生まれたばかりの乳児や、幼い子どもの心は
まだ未熟で、ちょっとしたことにも影響を
受けやすく、とても弱いです。

人間の性格は、そんな心が未熟な乳幼児期に
形成され、のちのちの心の障害にも関係して
しまいます。

精神分析学の考え方では、
性格形成の基礎は3歳くらいまでにつくられる
と云われています。
日本のことわざで云えば、
『三つ子の魂 百まで』、
『すずめ百まで踊り忘れず』でしょうか。

しかし、その3歳ぐらいまでの年齢は、
それほど自我が成長しておらず、
心のほとんどが無意識。
つまり、性格形成の大部分は
無意識的に行われていることになります。

それは何を意味するのか、と云いますと、
無意識(エス)は快楽原則でツライことが苦手。
しかもツラくても頑張ろうとする現実原則の
自我がまだ未熟ですから、
心はわがまま放題なエスの独壇場です。

そうなると・・・
乳幼児は、とても不快な出来事に遭ったとき
「ツライ」「嫌だ」と感じると我慢せずに
ナンデモカンデモを
無意識の奥へ抑圧してしてしまいます。

そしてそれらが、なかば自動的に性格形成に
反映されてしまう、ことを意味しています。


もちろん、
性格形成なんて「そんなもん」。

そもそも性格なんて、無意識に出てくる
思考や行動習慣なんだから、
と云ってしまえば、そうなのですが、(^^:

言葉で訴えることもできず、
ナンデモカンデモが性格形成に影響してしまう
とすれば容赦ない怖さを感じますよね。

だからこそ、
感情をうまく言葉で伝えられない時期は、
より慎重に守ってあげることが大切に
なるわけです。 




そして3歳を過ぎ、小学校に行く前の
4~6歳頃を、男根期と云います。

いわゆるオチンチンという性器に興味を持ち、
「ボクにはある」「ワタシにはない」という
目線で、自分の性を意識し始めます。

もちろんまだ生殖に目覚めたわけではなく、
自分が男であるか、女であるかを意識する
だけですが、
異性にほのかな恋心を抱いたりします。

お父さんのように、お母さんのように・・・
と、異性親に同一化し、異性親になりきって
「ワタシお父さんのお嫁さんになる」
と云ったりするのもこの頃ですが、

同時に
「ダメ!」の超自我が芽生えるのもこの時期で、
思う以上に子どもは葛藤にさらされます

そうした葛藤や、オチンチンに関する不安
などから、神経症などの芽をつくってしまう
のも、この時期です。




その後、
小学生の7~12歳ぐらいの年齢を
潜伏期と云います。

性への目覚めが一時的に落ち着き、精神的にも
比較的葛藤が少ない、安定した時期です。

つまり、
性的な無意識(エス)の活動が鎮まり、
自我や超自我の活動が活発になる時期です。


家庭や両親以外のことに意識が向い始め、
学校の先生など憧れる人に同一化しながら、
道徳などの社会性を身につけて行きます。


しかし、
あまり強い正義感や道徳心を持ってしまうと、
「こうあるべき」という強迫観念ができて
神経症の原因をつくってしまうことがあります。


そして、
中学・高校の13~18歳頃の思春期を
精神分析学では性器期と云います。

今度は
男根期と違い、生殖そのものに強い関心と
性への欲望を持つようになります。

つまり、
エスの本能的欲求が再燃するわけですね。


しかし
超自我の禁止する力も強く、したがって
心の中の葛藤が、とても強い時期です。


自我にすれば、エスの欲求も満たしたいが、
超自我の云う社会性も理解できる。

だから
「どっちにすればいいんだ!」
と、その板挟みに苦しむわけです。


「なんとなく落ち着かない」
「イラつく」
というのは、そうした心の中の葛藤や、
大人になる区切り、最終段階の準備のせいで、
おそらく人生の中で一番、イライラモンモンが
激しいのではないでしょうか。(^^:

こうした、イライラモンモンは、
この時期の特徴的な精神状態
と云って良いと思います。


【極楽とんぼのつぶや記】
~心の障害と、そのメカニズム~

さて第三部の後半は、
心の障害と、そのメカニズムです。

第一部、第二部にも書いてきましたように、
エス(無意識)には本能的欲求や、
抑圧されたものなどの
多くのエネルギーが集まっていますが、
そのエネルギーを、リビドーと云います。

リビドーは、
私たちの心や身体を動かす大切な動力源ですが、
同時に、
心の障害のエネルギーにもなってしまいます。


私たちの心、無意識の中には、
過去に体験したことなどの記憶が
たくさん詰まっています。


リビドーは
そうした記憶の中を自在に動き回り、
私たちの精神活動を支えているのですが、

過去に大きなツライ体験などの傷があると、
その傷にリビドーがかさぶたのように停滞して
しまうのですが、それを固着と云います。
(固着=抑圧されたもの)


そして、
その固着がとても大きなものになると、当然、
リビドーの流れが悪くなり、精神活動にも
支障が出てきます。
これが、心の障害の基礎部分です。

※もちろん、固着にはつらい思いだけではなく、
心が癒されるような大切な経験の記憶もあります。


さて、
私たちの日常生活を見てみると、
思うようにならないことが大多数ですね。(^^:

このとき自我がしっかり成長していれば、
すぐに思うようにならなくても、
快楽原則でワガママなエスを、
防衛機制などで上手くなだめ、
その場をしのぐこともできます。

しかし
自我の力が弱いと、そうはいきません。
力関係でエスが勝ってしまうと・・

そして
自我はもう、どうにもならなくなり、
防衛機制の最終手段である、退行・・・

つまり、問題を投げ出し、
ツラい現実から逃避してしまうのです。


そしてその逃避(退行)する先が、
さきほど書いた固着です。

固着には、過去の満たされなかった気持や、
心が癒される記憶が詰まっているので、
現在のツライ気持ちも癒してくれます。

しかし、
退行の仕方や、退行する固着によっては、
自我は癒されても、
心の障害として現われてしまう
ことがあります。

たとえば・・・
自我が退行し、症状を身にまとった自分へと
変化した状態が神経症です。
あるいは自我が退行し無意識の世界に
こもってしまったような状態がうつ病で、
退行した自我の人格が侵されてしまう状態が
統合失調症です。

つまり、
心の障害はいずれも固着への退行が原因に
なるわけですが、上記のように、
要因要素の組み合わせや条件などによって、
病気や症状も違うものになってしまうわけです。


さて、
お楽しみ頂けましたでしょうか。(^.^)

以上をもちまして、
無意識を知ろう♪極楽とんぼの精神分析学入門
を終わらせて頂きます。

本当に長い時間、拙い記事にお付き合い頂き
ありがとうございました。

 


尚、第四部にコラムを書いてみました。^^ゞ
無意識を知ろう♪は、文字通り
無意識の主、エスが主役みたいな話でしたが、
「それぢゃ、人間社会は生き抜けないわ!」
と、ついに自我子が立ち上がります。

題して『自我の逆襲』(笑)
大丈夫か?ほんと・・・(^^:

ともあれ、
よろしければ、そんな自我の奮闘ぶりも
みてやってください。(^.^)



そして最後の最後・・姉妹の姉からも・・(汗笑)

無意識を知ろう♪ 楽屋裏、打ち上げ風景です^^ゞ

心の障害のこと(2) 精神疾患について
最大の敵は自分自身   自我の逆襲 プロローグ

このページは『無意識を知ろう♪極楽とんぼの精
神分析学入門』をスマートフォン対応に再編集し
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