さて、精神分析(学)とは、
いったいどんな学問なのでしょうか。
精神分析は、神経症の治療法の一つですが、
心の働きを研究した学問であり、
人間の心理を研究した学問でもあります。
つまり、領域的には治療の為の精神医学ですが、
同時に心の仕組みや働きを知るための、
心理学でもあるわけです。
そして心理学には、意識を重視したものと、
無意識を重視したものがあり、
精神分析学は無意識を重視した学問で、
深層心理学と呼ばれることもあります。
※ただし、1920年以降、フロイド自身が意識
(自我)について研究を発表するようになって
から、まるっきり無意識(深層)を重視した
心理学とは云えなくなってという変遷経緯も
あります。
その精神分析学を産み出した人は、精神科医
ジクムント・フロイド(以下、フロイド)です。
彼はハンガリー王国、現在のチェコに生まれた
ユダヤ人でした。
彼はウイーン大学の医学部に入り、生理学の研究
者になりますが、生活費を得るために精神科医と
して開業します。
そこで彼は、神経症の専門医として手腕をふるう
わけですが、治療や研究を重ねた結果、無意識に
抑圧されたものが神経症の原因であることを発見
し、精神分析(自由連想法)という神経症の治療法
を考え出したわけです。
彼は『無意識の発見者』と云うことで有名ですが、
人間に無意識があることは古代から知られていまし
たので、どちらかと云えば、無意識を初めて学問に
した学者と云えると思います。
もっとも、その弟子や後継者たちの『枝分かれ(
えだわかれ)』が激しかった為か、彼の学説は
百年あまり経った現在でも、さまざまな学派に
分かれ論議されています。
つまり精神分析学という学名はあっても、まだ
学問として完成されていないわけです。おそらく
この先、何百年かかっても、未完のままのような
気もします。それだけ心には解明できない不思議
が多い、と云うことなのでしょうね。
しかし、彼の学説は、多くの学者や臨床家に引き
継がれ、現在では、さまざまな分野で『無意識』
の重要性が認識され、活用されていることは、
みなさまもご存知だと思います。
今日あるカウンセリングの技法なども、その原型
は精神分析(学)にあるわけです。
※フロイドについてもっと詳しく
姉妹版『神経症と精神分析学』へ移動します。
【極楽とんぼのつぶや記】
~精神分析と精神分析学~
精神分析と精神分析学では、
どういう違いがあるのでしょうか?
厳密に云えば、
精神分析は神経症の治療技術を指すものであり、
精神分析学は心を研究した心理学と分けること
ができます。
本編(上の記事)にも書きましたように、もともと
は単なる神経症の治療技術だったのですが、
心を調べあげた治療法なので、当然 人間心理
にも詳しく
「これは(心理学としても)貴重な資料になる」
と云うことで、心理学としても発展したわけです。
しかし現在では、治療法として使われることは
あまりなく、ほとんど心理学としての知名度だけ
となり、呼び名も精神分析で統一されることが
多いようです。
しかしこの書では、心理学としての精神分析学
と云う名称をあえて使うことにしました。
と、呼び名はともかく、
精神分析学は、とても不思議な学問で
「なるほどなぁ」
が、たくさん詰まっています。
その魅力と「なるほどなぁ」
を少しでも多く、そして楽しく、
皆様にお伝えできれば、と思っております。
※これから記事の終わりに、この【極楽とんぼの
つぶや記】が登場します。記事(本編)の補足や、
簡単なコラムとして、ご利用頂ければと思います。
神分析学入門』をスマートフォン対応に再編集し
たものです。※文章はスマートフォン向けに編集
してある為、パソコン画面では読みづらい部分が
あるかもしれません。また画像を多用しておりま
すが、サイズがスマートフォン画面では見づらい
場合があるかもしれません。ご了承ください。