だけど私は満たされない 外的現実と内的現実 極楽とんぼのつぶや記 特別号(3)

意識・無意識・前意識。
心は、この3つの意識で構成されていますが、
これを大きく分けると、2つの世界になります。

※尚、ここは意識・無意識の別の側面ですので、
『思う感じる無意識・考える意識』はリセット
して(一旦忘れて)お読みになってください。


ひとつは、いまあなたがこの記事を読みながら
「あれや、これや」
と思ったり、感じたりしている世界。


この世界を外的現実(物的現実)と云います。
つまり意識されている世界ですね。

それに対して、
自分自身でも意識できないところで、
現実とは無関係な自分だけの心の世界
を展開しているのが無意識で、
この世界のことを   
内的現実(心的現実)と云います。  
心の奥底と云われる無意識の世界です。

私たちは、

この2つの『心の世界』を持ち生活していますが
「これは自分だけの心の世界のこと」
「これは現実的なこと」
と、自然に感じて、使い分けています。

なので、
「心の中と、現実の区別もついている」
と思っているわけです。

ですが実は、自分が思っているほど明確な
分別ができているわけではないのです。

なぜなら、私たちの心は
外的現実、内的現実という2つの心が、
ひとつになって機能しているからなのです。


上の絵の2人は、会話を聞く限りでは、
『夢』と『現実』もそうですが、
彼女たち自身の中にある
『内的現実』と『外的現実』も
とりあえず区別されているみたいですね。

人間も動物、内的(無意識的)な生き物ですから、
しっかり注意(意識)しておかないと、
この内的現実に振り回されてしまうことが
あります。 

仮に、内的現実が強い勢力をもち、外的現実を
圧倒した場合、現実が歪められてしまい、
常に強い不安や違和感にさらされてしまう
ことも・・



さて、今回の主人公である主婦のA子さんも、
すこし不安定な内的現実をもった人です。

結婚し、優しい夫と、子どもたちに囲まれ、
周囲からは「幸せ者」と思われていますが、
彼女自身は・・・

そしてある日のこと、
久しぶりに遊びにきた学生時代の友人から
「なに不自由なく、いい暮らしができて幸せね」
と云われて、むしょうに腹が立ち、
同時にとても悲しい気持ちになりました。
「何も知らないくせに・・・」と。


突然のA子さんの取り乱した姿に、
友人B子さんもオロオロしますが、
当のA子さん自身も、そんな自分に
当惑しています。

久しぶりの友人という甘えも出たのでしょうか、
ふだん抑えていた気持ちが溢れ出てしまった
のかもしれませんね。

さて、Aさんの内的現実に、いったい何が
起こっているのでしょうか。


結婚して10年。
初めは大変なこともありましたが、たしかに、
恵まれた生活だと彼女自身思っています。

夫は優しく家庭的な人だし、子どもたちも
元気にスクスクと育っているし・・・

それは彼女が望んだ「温かい家庭」そのもの
なのです。

でも、それなのに・・・
自分が幸せだな、と感じれば感じるほど、
心は不安で一杯になっていったのです。

「この幸せは、大丈夫よね?」
「私の家族は、壊れないよね?」
夫に問いたい衝動を抑えながら、
彼女はこの数年を過ごしてきました。

そして、ここ最近、
「こんなに幸せなんだから、そんなこと
思っちゃいけない」
と思おうとする自分の陰に、悲しげな自分を
感じることも。。

とても漠然とした不安だけに、
理由の分からない不安だけに、
彼女自身、どうすることもできずにいたのです。


誰の目から見ても幸せ・・・
そんな見た目(外的現実)も、彼女の孤独感を
いっそう強めてしまったかもしれません。

誰かに打ち明けても、理解してもらえないで
しょうからね。

だから、それだけにB子さんの一言で
不安が怒りとなって爆発してしまった・・・
「ああ、彼女も打ち明けられる人ではないのか」
と。

しかし同時に、友人B子さんの言葉は、
隠されていた内的現実(心の奥底)と、
向き合うキッカケを与えてくれた・・・とも。

さて、そうした彼女の強い不安は、
いったい何処から来ているのでしょうか。

それは、彼女の外的現実は満たされていても、
内的現実が満たされていないから、なのです。 

外的現実が、良く感じれば感じられるほど、
満たされないままの内的現実が取り残されて、
苦しくなってしまう・・・


実は彼女は、祖父母に育てられました。
両親は不仲で離婚し、彼女を引き取った
母親は他の男と蒸発してしまったのです。

それでも彼女は「温かい家庭」を夢見て、
努力をし現在の家庭を築いたわけですが、
幼い頃の「捨てられた」という過去の思い
(内的現実)が、いつも彼女に暗い影を
落としていたわけですね。

つまり、いくら現実(外的現実)が満たされて
いようと、内的現実が満たされていなければ
・・・という話です。


もちろん、
このストーリーは作り話(少しだけ実話)ですが、
私たちは心の中と現実をキチンと使い分けている
ようでも、実はそうでもない、『外と内』とは
常に混在しているのですよ。

そして見えない内側ほど強い影響力を持って
いるのですよ。

と云うことを、みなさまにお伝えしたかった
わけです。



さて、、では、
お友だちも心配しているようですので、
『今後の彼女』と云うことを考えながら、
もう少し内的現実と外的現実について
見ておきたいと思います。

まず、内的現実も外的現実も、
人間の心の中にある自分です。

しかし、どちらかと云えば、
内的現実(無意識)=本音(ホンネ)の自分
=本当の自分。

外的現実(意識)=建前(タテマエ)の自分

と云って良いと思います。


ですから
彼女の場合、内的現実にある不安の正体が
分かり始めたわけですから、タテマエだけ
ではなく、ホンネの部分も認めてあげる
ようにする。

「ああ、自分は両親に去られて寂しかった
んだね。そしてこの不安は、また(今の家族に)
去られてしまうのでは、という不安だった
んだね」

と、理解してあげられれば、
本当の自分(内的現実)も、少しずつ安心
できますよね。


そうすれば、
いまはチグハグな内的現実と外的現実も
少しずつ歩み寄れて、心の中の大きな
違和感や葛藤も薄れてくるはずです。

もちろん、こんな風に書くだけなら簡単で、
実際には、(本当の自分は)なかなか見つけ
づらいものですし、仮に見つけても、無意識を
慰めることは、大変な作業であることも
たしかです。

しかし、自分自身の内的現実の存在を、少し
意識してあげるだけでも、ずいぶん違うはず
ですし、もしかしたら気づいてあげられる
ことが、少しみつかるかもしれません。

 

さてその後、A子さんは、どうしたでしょうか。
B子さんから後日談が届きましたので、どうぞ。

※このたとえば・・・の続きは別ページで


A子さん、落ち着かれたみたいで
良かったですね。どうぞお幸せに。(^^)


さて、
『内的現実』と『外的現実』いかがでした
でしょうか。

私たちは、いつもこうした2つの心を
意識しながら暮しているわけではありませんが、
どちらも、たしかに存在する心です。

不安や違和感、つらさが長く続いたりしたら、
「自分のホンネくんは、
どう思っているのだろう?」
と、ちょっとご自身の『内的現実』のことを
思い出してあけでみてみてください。

もしかしたら何かヒントをくれるかも
しれません。(^.^)

 

無意識に会える場所(2)

 

このページは『無意識を知ろう♪極楽とんぼの精
神分析学入門』をスマートフォン対応に再編集し
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