第三部で心の障害は、過去にできた固着への退行
が原因であると書きました。
そして、固着は、抑圧された満たされない気持ち
などのエネルギーの集まり。
そんな固着へ退行した自我は癒されますが・・・
その後どうなるのでしょう?
もし退行したままだと、理屈のうえでは心の障害
は治らないことになります。
それでは大変なので、なんとか自我を連れ戻さな
ければなりません。
そこで今回は心の障害からの回復を、神経症を
例に考えてみたいと思います。
たとえば苦痛を伴う神経症(自我疎外性)の場合、
理屈のうえでは、
退行して癒されている自我と、
症状を「なんとかしたい」と思う自我が、
心の中で2つに分裂した状態で存在している
ことになります。
もちろんこのとき、
退行している自我は無意識の中ですから、
私たちは退行している自我を意識することも、
自分の意思でコントロールすることもできません。
そうなると期待できるのは、症状に苦しみ、
「なんとかしたい」と思っている自我・・・
つまり、意識されている自我に、頑張ってもらう
しかありませんね。(^^:
仮に、この2つの自我を
退行している自我・・・・癒されてい隊
意識されている自我・・・なんとかし隊
と命名したいと思います。(^^:
名前なんてどうでもいいことですが一応。汗
では、なんとかし隊は、
いったいどんな戦略を使えば仲間の癒されてい隊
を無意識から救出し、神経症を壊滅に追い込む
ことができるでしょう?
まず考えるべきは、
退行先である固着の性質(成り立ち)です。
仲間の癒されてい隊は退行した先で癒しを楽しみ
ながら囚われているのですから、いきなり
「助けに来たぞ」
では、
「余計なお世話だ。帰れ!」
と追い返されてしまうのがオチです。(^^:
これじゃ、オマヌケですよね。(^^:
なのでまず攻めこむ城(固着)の性質を徹底的に
調べ、その弱点を知ることが大事というわけです。
・・・とは云っても、
敵はそんなに複雑ではなさそうです。f(^_^;)
固着は抑圧された満たされなかった気持ちなどの
エネルギーで出来ている・・・
要するに過去にできた欲求不満の固まり。
古傷みたいなものです。
そこで、
そんな古傷がいつまでも疼く(うずく)のはなぜか?
の理由を考えてあげれば、答えも出てきます。
そう・・・もうお分かりですね。(^ー^)
時間は容赦なく過ぎてしまったけれど、
心の中ではまだ解決されていないから疼く。
つまり、
満たされないままだから、満たされたくて仕方が
なくて疼くわけです。
私たちだって未解決な問題は、いつまでも心に
引っ掛かってスッキリしませんよね。
それと同じです。(^^:
であるなら、そんな固着を解体するのは簡単。
自分を過去に戻して、すべてを「やり直して」
あげれば、固着のエネルギー(リビドー)たちも
慰められ満足して解散してくれる・・・、
きっとそうに違いありません。σ^.^)σ名案でしょ?
まあ、たしかに理屈の上では・・しかし、
とは云っても、それにはちょっと・・・
いや、かなり無理がありそう・・・ですね(^^:
いくら固着のリビドーたちが、
過去をやり直したがっているとは云っても、
人間は過去に戻ることはできないのですから・・・
(-_-;)
ならば、どうするか?
ひとつだけ、できることがあります。
それは現在、そして未来を変えて行くことです。
固着に集まったリビドーは、過去にこだわり、
身動きできなっているわけですが、
どうすることもできない過去に、いつまでも
こだわっているよりも、
代用で満足できるなら「それでもいい」
と思うに違いありません・・・
なんたって、そのへんはリビドーも、
元をたどれば快楽原則の無意識(エス)の住民
ですからね。(^^:
それならば、
現在をもっと楽しく充実したものに変えてしまえ
ば、固着にいるリビドーたちも、
「おい、あっちのほうが楽しそうだぜ」
「そうだな。楽しいほうがイイに決まってるし」
と、固着を離れ、現在の楽しい自我に集まり、
「もっと充実させようぜ」と、逆に応援して
くれると思いませんか?(^.^)
そんな理屈を極楽とんぼは勝手に
『天岩戸(あまのいわと)作戦』
などと呼んだりしていますが、(^^:
でもこんなウソ臭い話も、
実はまんざらいい加減な話ではないのです。
人間どんな努力をしても、過去の出来事を変える
ことは不可能ですし、過去の傷(固着)を完全に
消すこともできません。
しかし、過去の傷の疼きを癒してあげることは
可能で、それは
現在の自分を変えて行くことで、過去に対する
感じ方(考え方)を変えて行くことができる。
そして、
感じ方変われば、過去にこだわり、しがみついて
いる自分を自由にしてあげられる。
という意味で、カウンセリングの考え方とも
一致しています。
まあ、自我の逆襲からは、ちょっと掛け離れている
ように思うかも知れませんが、
攻めだけが攻撃ではなく、『敵に塩をおくる』
という言葉もあるように、
相手(無意識)が欲しがっているものをプレゼント
してあげることも戦略なのです。
しかも症状から解放され、さらに自我の強化と
良い人生が得られるとすれば、
こんなに美味しい逆襲、他にあるでしょうか?(^^)v
補足・・・
上記の話は、症状に違和感のある自我疎外性に
通用する作戦です。
つまり、
症状に違和感のない自我親和性には使えません。
しかし応用は出来ます。
自我親和性は「自分が心の病気である」と云う
自覚がありませんから、当然自分から
「なんとか治さなければ」
という気持ちも持てないわけですが、周囲が
「もっと楽しく充実したものにしてあげよう」
と、少しずつでも環境を整えて行ってあげれば、
固着のリビドーや、退行した自我にも変化が
期待できます。
つまり、
自力で自我が動かせないのなら、周囲がその
お膳立てをしてあげたら良いという理屈ですね。
実際的にも、周囲が考え方を変えて行くだけで、
症者の気持ちや行動が軟化する(好転する)ことも
珍しくありません。(^.^)
ですので、
過去ではなく未来・・・
現在を変えて行く(未来に希望を託す)
ことは、心の障害全般に重要なキーワードである
ことは間違いないと思います。
そしてもちろん、「環境を整える」ことは、
症者本人だけのためになるだけではなく、
ご家族にとってもプラスが大きいはずです。
神分析学入門』をスマートフォン対応に再編集し
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