≪現実神経症≫
【植物神経症】
いきなり植物神経などと云われても「何それ?」って感じですよね。(^^;)べつに私たちがお花になっちゃったわけではありません。
植物神経症の植物神経とは
自分の意思とは関係なく血管や心筋、内臓などを動かす、生命維持に必要な(静的な)神経系統のことで、医学的には自律神経と呼ばれるものです。
ちなみに植物神経に対して動物神経というのがありますが、それは手足などを随意に(意識的に)動かす神経のことです。
つまり、草木などの植物には自分の意思で動かす神経がなく、すべて自律神経のような神経系統だけで生命維持をしているので、植物神経と呼ばれているわけです。
植物神経症は、その自律神経に関係した神経症のことです。
心の中では常にさまざまな葛藤が起こっているわけですが、私たちの身体は心と密接であり、心の疲労から自律神経のバランスを崩すことがあります。
たとえば、慢性的な疲労感、集中力の低下、イライラ感、不眠といった精神的な不調。
あるいは、動悸、めまい、吐き気、下痢などの、原因に心当たりのない肉体的な不調などがありますが、自律神経のバランスを崩すと、そうした症状が現れたりします。
昔であれば神経衰弱、現在で云えば自律神経失調症という診断になる状態です。
上記の段階(不調)を神経症と呼ぶかどうかは、さまざまな考え方や判断があると思いますが、この段階は、まだ自我が現実の問題と格闘し頑張っている状態です。
しかし、通常での自我の防衛格闘も「万策尽きた」となって、降参状態になると自我が不安定となり、神経症的不安を発し、ときには激しい身体症状を起こします。
これがいわゆる全般性不安障害(不安神経症・パニック障害など)と呼ばれる状態です。
※全般性不安障害は、男根期の固着(性的抑圧)が発症原因と云われています。
中には前段階の自律神経の不調期間が極端に短かったり、気づかない程度のものであったり、あるいは前段階がまったく無かったりすることもあるようですが、おおよそ上記のような過程で植物神経症(全般性不安障害)が発症する、と云われています。
ちなみに、自律神経失調症や植物神経症から胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸炎などの現実的な内臓疾患になることを心身症と云います。
また、自律神経系の不調や、全般性不安障害などの症状を必要以上に心配し、「もっとひどい状態になるのではないか」「自分は悪い病気ではないか」と疑い、神経症的不安を強めた状態を心気症と云います。
※心気症は、男根期での去勢不安が発症の原因ではないか、と云われています。
以上が現実神経症です。
尚、この現実神経症と前項で述べた精神神経症は、一応区別されていますが、相互に関与が深く、症状が重なり合うなどの共存性がある、と云われています。
≪その他の神経症≫
【性格神経症】
性格神経症という名のとおり、性格的と思われる行動様式が症状となる神経症です。
ちょっと難しいですね。(^-^;
つまり問題なのは、その行動の中身と、態度(行動に対する考え方)なのです。
たとえば、性格神経症者の行動は、とても衝動的であり、とても子供じみた無茶をします。
そして行動が無茶ですから、当然いつも失敗したり、周囲に迷惑をかけますが、それは「性格が悪いのだから仕方が無い」、「自分は運が悪いのだから仕方が無い」、あるいは「相手が悪いのだから仕方がない」と責任を転嫁し、反省することはなく、自分が不利になるような行動を繰り返すと云う特徴があります。
そして、もう一つの特徴としてこの神経症は(前章『発症』に述べた)自我親和性であることです。
つまり、「自分が良くない(不利な)行動をしている」ことは、うすうす気づいていても、それが、「神経症の症状である(病的である)」と云う病識がないので、ますます「こうなる自分は、つくづく運が悪い奴だ」と思い込み、投げやりな気分になることも、しばしばです。
非行や問題行動を起こす人、犯罪者に多いタイプと云われていますが、非行や犯罪であれば、まだ周囲の指摘や逮捕などによって改善できる可能性もありますが、とくべつ犯罪行為をしているわけではなく、ただ周囲を困惑させている症者となると、きっかけが無い為になかなか改善も難しくなります。
では、なぜそのような症状に至るのか、その原因は無意識の罪悪感や劣等感などにあると云われています。
たとえば、男根期での抑圧に囚われて、それ以降の自我の成長が停滞してしまうわけです。
するとどうなるか・・・超自我での「いけない」の禁止がそのまま残り、「なぜいけないのか」という理由にまで考えがたどり着けないのです。
たとえばよく注意されて「関係ないだろ!オマエ、警察か?」と逆ギレする姿がありますが、結局「いけない」という禁止だけが強く、「どうしてそれがいけないのか?」という知的な考えができるまでの精神(自我)の成長ができていない、ということになります。
だから『よくないこと=警察』という簡単な図式から、そうした子供っぽい発言になるわけです。
でも罪悪感が強いのであれば、無茶や投げやりな態度は、おかしいだろう・・・慎重になりすぎて、自滅するような症状なら分かるが・・・と思われるかも知れませんね。
しかし性格神経症の場合、罪悪感や劣等感が強いほど破滅的な行動に出て、失敗や非難、あるいは刑罰という罰を受ける・・・なんだか自虐的(マゾヒズム)なようですが、このマゾヒズムな罰こそが、自分の無意識を満足させるのです。
尚、この性格神経症は、他の神経症と併発することが、しばしばあります。
ですので、たとえば、転換ヒステリーの症者が、この性格神経症を併発した場合には、
転換ヒステリーに対しては症状を感じる自我疎外性であるが、自分が性格神経症であることに気づかない自我親和性である・・・と云う現象が起こります。
【異常性欲(性的倒錯)】
異常性欲が神経症の仲間であるかは、賛否の分かれるところかも知れませんが、固着(抑圧)や退行によって現れるもの、という意味で列記しておきたいと思います。
異常性欲と云っても「性欲が異常に強い」という意味では無く、性欲が通常と云われる異性愛という形をとらず、別の形で現れることを云います。
たとえば、露出症、小児性愛、サディズム、マゾヒズム、あとは異性に対する興味でも対象が性器ではなく、他の肉体部分であったり、あるいは異性の持ち物(靴など)や、排泄物であったり・・・つまり、生殖と結びつかない(部分に)性欲を持つことです。
※生殖と結びつかない・・・と云うのであれば同性愛はどうなるの?・・・続きを読む
もちろん他人に迷惑のかからない範囲であれば、それも嗜好のうちなのですが、性欲の対象が通常と云われる形ではない為に、あらぬ誤解を受けてしまったり、その方向性や度合いによっては、幼児にいたずらをしてしまう、痴漢行為をしてしまう・・・
などの犯罪(第三者に対する危害)に繋がってしまう可能性が高いのも事実です。
そして「やりたくないが、やってしまう」という他の神経症と同様に、異常性欲にも「いけないとは分かっているが、どうしてもやりたい」という強い衝動の性質的特徴がある為に自制が難しく、犯罪の場合どうしても再犯率が高くなってしまうという傾向があります。
異常性欲も、男根期での抑圧が原因になるのですが、その根本にあるのは、幼児性欲※の肥大化(幼児性欲の発達障害)と云われています。
程よく成長して退化するはずの幼児性欲が、歪められ一部分だけ肥大化してしまった、と云うわけですね。
その為、通常と同じように男根期の抑圧を受けても、肥大し、いびつになった部分だけが抑圧を受けず通常とは違った性欲になってしまう、と考えられます。
以上で神経症の種類についての説明を終わります。
文中でも述べましたが、これらの神経症は複合して現れることが多く、厳密に「これは○○神経症」と区別することは難しいとも云われています。
また、神経症は性格の延長線上にあるものですから、
すべての人がその要素(傾向)を持っている、ということが云えると思います。
別の云い方をすれば『人間はみんな病人・・・?!』の項で述べましたように、発症こそしなくても、すべての人が神経症予備軍的な部分を有しているわけですね。
ではその神経症は、どのようにすれば改善できるのか?と云う話になるわけですが、それについては次々章の『回復への扉』で述べさせて頂きたいと思います。
フォンでお楽しみ頂けるよう再編集したものです。
※文章はスマートフォンで読みやすいよう編集し
てある為、パソコン画面では読みづらい部分があ
るかもしれません。また画像はパソコン版と共用
のため、スマートフォン画面では見づらい場合が
あるかもしれません。あらかじめご了承ください。