補足 同性愛

性欲が通常と云われる異性愛という形をとらず、
別の形で現れることが異常性欲(性的倒錯)である、
とするなら、男子が男子に愛欲を持つこと、あるいは
女子が女子に愛欲を持ついわゆる同性愛は、どうなる
のでしょう?


たしかに「生殖に結び付かない」という意味では、
性的倒錯的ではありますが、この同性愛については、
固着・退行という道をたどる性的倒錯とは、また
色合いが違うようなのです。


フロイドは「すべての人間に自分と異なる性の傾向が
多少とも本来そなわっている」ことを『両性性質』
云う言葉で、精神分析(学)の立場から名言しています。

つまり、男性なら女性的な部分、女性なら男性的な部分
を少なからず有しているということ。

これを拡大して解釈するなら、
男性が女性として男性を愛することや、
女性が男性として女性を愛することも、
有り得える、わけですよね。

そして同性愛の場合、その恋愛の中で『男役』『女役』
のような役割りが存在していることがありますので、
これも両性性質で説明が可能ですよね。


ちなみに同性愛は、
男根期(エディプスコンプレックス)での
『同一化』で説明されています。

通常、男根期の同一化は、異性親を愛し、同性親に
同一化して、その愛を実らせようとするのですが、

同性愛の場合、何らかの理由で、同性親を愛し、
異性親に同一化して、その愛を実らせようとする、
わけで、これを陰性エディプスコンプレックスと
呼ぶこともあります。

つまり逆転現象なわけです。

たとえば何かの理由で去勢不安がとても大きなもの
になった場合、異性に対する性欲(愛)が失われ、
その代わりとして、同性親に同一化し、同性に対する
性欲(愛)で満足を得ようとする。
そしてそれが同性愛、と云うわけです。


また、性同一性障害についても、この『両性性質』で
説明がつくのではないでしょうか。
つまり、それは障害と云うよりも、人間が本来持って
いる(性の性質の)傾向の一つであると云えますよね。


しかし、こうした性の問題は、いくら両性性質や
同一化で説明がつく、性の性質の傾向の一つである
と云っても、なかなか理解されづらい部分も多く、
とてもつらいことだと思います。

 


このページは『神経症と精神分析学』をスマート
フォンでお楽しみ頂けるよう再編集したものです。
※文章はスマートフォンで読みやすいよう編集し
てある為、パソコン画面では読みづらい部分があ
るかもしれません。また画像はパソコン版と共用
のため、スマートフォン画面では見づらい場合が
あるかもしれません。あらかじめご了承ください。


 
カウンセリングルーム アクト