性格形成(2) 口唇期



産まれたばかりの赤ちゃんは、空気というものに初め
て触れ、何か戸惑っているように見えますよね。
まだ呼吸することさえ難しく、ときどき大きな溜息を
ついたり。

そんな彼らが初めて感じる気持ちよさは、口唇、
つまり唇(くちびる)から受け取る快感です。

そう、唇に感じるお母さんのオッパイの感触が、
彼らの心を震わせるわけです。

よく見ていると、授乳が終わっても、いつまでも乳房
から唇を離さず、恍惚としていますよね。あれは、
唇に感じる快感を味わっているのですが、同時に安心
感を受け取っているのでしょうね。

その他、授乳によって、赤ちゃんは正しい呼吸の仕方
を覚え、抱かれる刺激によって、視覚や聴覚などの
感覚器官の発達を促すという、とっても大切な時期で
もあります。


さて、『三つ子の魂百まで』という言葉がありますが、
性格の基礎づくりは、この口唇期(こうしんき)に
始まり、3歳までに、ほぼ決まると云われています。

では具体的に、どのような要素で、どのように決まっ
て行くのでしょうか。




上の図にありますように、
口唇期は前期と後期に分かれています。

前期は産まれてから、離乳食が始まるまでの、
おおよそ7~8ヶ月頃まで。
後期は、1歳6ヵ月ころまで、と考えられています。

口唇期全体に云える大切なキーワードは、受け取る
です。


【口唇期・前期】

産まれて間もないときは、まだエスの塊のようなもの
で、きわめて自己中心的です。
そう、まだ、抱いてくれるお母さんと自分の区別のな
い、まさに母子一体の状態です。

それが段々と、お母さんのオッパイとの関係、つまり
唇に感じる快感を中心に自我を成長させ、自分の世界
を広げて行くのがこの時期です。

ここで一番重要なのは、母親との信頼関係です。

つまり、自分と一番密接に関わる人と、どう結ばれる
か、が、その人の感じ方や、性格形成に影響を与える
と云われています。

たとえば、授乳のときに、何らかの理由によって、
物理的、心理的に満足感が得られず、それが慢性的に
なってくると、あきらめたように無気力な人になる
可能性があると云われています。

お母さんが赤ちゃんの様子に無関心で、まだオッパイが
欲しいのに授乳を切り上げてしまったり、まして、
授乳のときに、お母さんがテレビに夢中、携帯メールに
夢中になっていたら、赤ちゃんは失望してしまいます。

やはり赤ちゃんは、恍惚と乳房を吸いながら、ときどき
母親とアイコンタクト(目と目を合わせ)しながら、
愛情と安心感を受け取って行くわけですね。


この頃の彼らは、まだ他者に向ける怒りや、憎しみを
知りません。
では、その怒りや憎しみは、どこへ向かうかというと、
自分に向かいます。

それは自分が「愛されるだけの価値のないもの」
と無意識に抑圧するのかも知れません。
いずれにしても、やり場のない憤怒の刃を自分に向け
るわけですから、辛いことですよね。


この口唇前期で考えられる性格形成への影響は、

全般に無気力な人・・・
つまり、生きる力の乏しい人、という意味です。

何事にも意欲が持てず、しかしときには抑えられたも
のを爆発させるような、自暴自棄とも思える行動を
示すこともあるかもしれません。

しかしここでの自暴自棄は暴れるというより、無気力
さが手伝っての、自分自身を傷つけ粗末にする、
と云う感じだと思います。

また、口唇性欲(唇の刺激)に物足りなさを残してい
ますので、指を口元に寄せたり、爪や筆記具を噛むく
せ、あるいはタバコや、お酒などがやめられない、
などの癖を残したりします。

それらの癖が過度であったり、お酒や食事などを
過度に摂取する人などは、後期も含めた口唇期に何か
しらの問題があった、と考えることができます。



【口唇期・後期】

この時期に入ると、かなり自分と他人の区別がつく
ようになります。ちょうど乳歯が揃い始めて、噛む
ことを覚える離乳食のころですね。

離乳は、母親のオッパイとの決別(ある種の自立)
を意味します。

口唇前期での母子関係が良好であれば、比較的、乳離
れも順調に行われますが、そうでない場合には乳離れ
以外の面でも、さまざまな問題を引き起こします。


口唇後期のポイントになるのは、攻撃性と云える
と思います。

噛むことを覚えた彼らは、そのムズムズして歯痒い
歯を武器にして、ありとあらゆるものに攻撃をくわえ
てきます。
お母さんの乳首を噛むは、その代表的なものですね。


さて、この攻撃性は口唇サディズム(口唇加虐性)とも
云われるもので、赤ちゃんはある種の快感を覚えます。

しかし、ここでの噛むという攻撃は相手に対してです
が、その実、その刃は自分にも向けられています。
(口唇被虐性)

つまり、そろそろ自我が芽生え始め、心の中で葛藤が
生じてきているわけです。

では、その葛藤とは一体どんなものなのでしょう?

たとえば、まだまだお母さんのオッパイを楽しみたい
のに、離乳ということで、オッパイを取り上げられて
しまった。

誰だって楽しみを邪魔されたら、ショックだし、
「なんでだよ(--;)」と腹が立つし、邪魔した相手を
憎く思いますよね。
しかもオッパイは赤ちゃんにとっては、宝物のように
大事なものですから、その怒りや憎しみは、想像以上
だろうと思います。

しかし・・・その怒りや憎しみの相手は自分を愛し、
守ってくれる母親。
そんな大切な人を憎んでしまうことになる。
それは、とんでもなく大変なこと・・・

そうした恐れや不安が、憎しみと同時に赤ちゃんの
心に襲いかかる・・・
と、そんな感じで、おそらくそれは彼らにとっては
物凄い「戸惑い」だろうと思います。

もちろん自我は、そうした葛藤などを通して成長して
行くわけですが、だからと云って、葛藤をさせておく
には、彼らはあまりにも幼すぎますし、そうした不安
や憎しみは簡単に抑圧されてしまいますので注意が
必要です。

ですので親としては、そうした攻撃的な態度も、親の
愛情を確かめる行為と受けて止めて心の成長を支えて
あげる、が正解だと思います。

つまり、「ダメなものはダメ」という躾けよりも、
この時期は与える、受け取るというコミュニケーショ
ンのほうが大切で、
「この人には甘えられる」
という安心感と信頼感を与えて(満足させて)あげる
ことが重要だと思います。

人間、くじけそうになっても、心の支えがあれば強く
立ち向かえますが、そうした支えがないと人間は弱い
ですし、やる気すら起こらなくなりますからね。

この時期に支えの保証を十分にしておいてあげて
ください。


さて、この口唇後期で考えられる性格形成への影響は、

やはり攻撃性ということで、サディスティックな部分
の増減に関わってきます。

とくに口唇前期の欲求が満足されていない場合には、
かなり「しつこさ」が加わります。
また、口数が多くなるか、無口になるか、も、
このころの形成と云えそうです。

つまり、その攻撃性が、内に篭った内向性になるか、
外に発散できる性格になるか、という意味です。

そして、嫉妬心なども芽生え始めているので、この
時期に親の愛が不足していますと、他人に対する憎悪
がきつく、他人に(愛情にしても、物品にしても)
何かを与える、ということが不得手になる傾向が
みられます。
  
つまり、『人に何かを与えられる』と云うのは、
自分が『充分に受け取っていないとできないこと』
なのですよね。



※ここでは、一番オーソドックスな母親との関係で
述べていますが、さまざまな理由で母親が不在という
場合もあると思います。
たとえば、母親との離別、母親の病気、あるいは母親
との関係が良好ではなかった。

その場合、母親に代わって自分の面倒を一番みてくれ
た人が、その対象になります。
たとえば、父親、祖父母、あるいは保育施設の人や
近所の人ですね。

もちろん、母親との関係の善し悪しに関係なく、
そうした(自分を助けてくれる)身近な人たちとの
関わり方も、性格形成に深く関係がある、
と云うことも付記しておきたいと思います。

つまり、その時期に、どのような人と、どのような
関わり方をしたのかが、性格形成に関係してくる、
と云うことですね。


 


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このコンテンツは2006年に作成され2015年に再編集
したものです。

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