未生怨・・・『みしょうおん』と読みます。聞き慣れない言葉ですよね。
これは精神分析の日本での草分けとも云える古沢平作(こざわ へいさく)博士が主張した、胎児が持つコンプレックス(心的葛藤)と怨み(うらみ)の話で、少数派の学説ですが、少しだけご紹介させて頂きます。
さて、未生怨、、
まだ産まれる前の怨みと、ここでは訳しておきたいと思います。文字的にもその語感が、ちょっと不気味な感じですね。(^^;)
どんな意味でしょ?(^^;)
まず、おおかたの様子から、お話しさせて頂きますと・・・
産まれる前ですから、当然まだ、この世に誕生していないのですが、前世とか、そういう漠然未定とした話ではなく、
胎児期、、つまり受胎したのちの、お母さんのお腹の中での話です。
そのお母さんのお腹にいる時期に、胎児が怨み(うらみ)を持つというわけです。
なんだか、やっぱり気持ちの良くない話ですよね。(^^;)
この話は、インドのピンラシャワという王国での物語をモチーフに、古沢博士が考え出した学説です。
その物語を簡単に書きますと、、、
国王の妻イダイケが子供を欲しがります。すると仙人が「あと三年待ちなさい。三年待てば、私の生まれ変わりとして、子供が授かるでしょう」と云いました。
しかし、子供を産むには高齢であったイダイケは、その三年が待てず仙人を殺してしまいます。
仙人は死の間際に「その子は呪われて(国を滅ぼす子として)産まれてくるだろう」と云い残します。
受胎したイダイケは、仙人の言葉が恐ろしくなり、塔の上から産み落とし、その子を殺そうとしました。
しかし、運良く助かり、王子として成長するのがアジャセ(阿闍世)です。
そして、アジャセが思春期になったころ、お釈迦様の従兄弟にあたるダイバダッタから、話しを聞き、その出生の秘密を知ります。
ダイバダッタは、アジャセの父、国王を亡き者にして、高位に就きたい野心がありましたから、アジャセに
「その手で国王を殺さねば、あなたの心の落ち着くところはないだろう」と予言します。
アジャセは、悲しみと怒りもあって、ダイバダッタの話しを聞き入れ、さっそく父、ピンラシャワ国王を餓死させようと牢獄へ閉じ込めます。
しかし、いくら月日が経っても餓死しないことを不審に思い、調べてみると、母イダイケが蜜を与え生かしていたのです。
アジャセは「いくら母でも、我が敵を助ける以上は生かせておけない」と、殺害を決意しますが、
重臣ギバに「国王を殺害するのは仕方ないとしても、母親までを殺害するのは、国の恥である」と、止められて、父のみを殺害します。
その後、アジャセは、原因の解らない皮膚病などに苦しみ、母イダイケから手厚く看病を受けました。
しかし一向に回復せず、お釈迦様に相談します。
そして、献身的に看病する母の姿に心動かされ、実母を殺そうとしたことを心から悔い、病いが治ります。
と、そんな話なのですが、なんとも東洋的、、いや日本的な話ですよね。
アジャセは、自分の本源である母親を欲するあまり、自分を殺そうとした過去に逆上して、母親を殺そうとしたわけです。つまり、愛が憎悪に変わってしまったのですね。
しかし、結局のところ自分が求めていたものは、母の愛だったのだ、と気づいて終わるわけです。
つまり、それくらい母親の心や行いが、子供の心を複雑にさせるのだよ、というのが、未生怨(阿闍世コンプレックス)というわけですね。
さて、未生怨は、受胎後5ヵ月目くらいから持ち得ることで、たとえば、この子さえ、妊娠しなければ」と母親が胎児を邪魔に思ったり、母親が病気などで体調が悪かったりすると、胎児は自分が迫害を受けたような気持ちになって、それを怨み、気力の弱い子(生きる力の弱い子)になったり、何かしらの問題を抱えて産まれてしまう、と云われています。
えーっ、そんなことで? ですよね。(^-^;
はい、たしかに、母親も生身の人間ですら、ときには妊娠を悔いたり、愚痴も云いたいでしようし、病気だってしますよね。
それすらダメと云うなら、おちおち子供も産めない、と思うのは当然のことです。
もちろん、母親が妊娠を悔いたりしない環境や、病気にならないことが一番望ましいのですが、そうでないと絶対にダメというわけではなく、
「どうぞ、縁あって授かった子ですから、妊娠中は身体を大切にして、(お腹の子を)慈しんで産んでくださいね」
という意味と思ってください。
妊娠を悔いたような愚痴を云ってしまった場合にも、
「ああ、ごめんごめん、お母さん弱気になっちゃったね。大丈夫だよ、アナタのことは愛しているからね」と、お腹をなでながら、フォローをいれてあげてください。
そうすれば胎児くん(ちゃん)も、「まあ、大人の世界も、いろいろあるんだろうな」と許してくれるはずです。
つまりは、どんなことがあっても「お母さんだけは、アナタの味方よ」と思ってあげることが大事、というわけですね。
もちろん、お父さんも母親が安定した気持ちで過ごせるように守ってあげてください。(^^)
余談ながら・・・
よく、胎教音楽といって、胎児に良い影響を・・・と、音楽を聴かせたりしますよね。
あるいは(お母さんの)お腹に向かって、お母さんやお父さんが呼びかけたり。
つまり親御さんも、子供が受胎した時点から「心を持っている」と、何となくでも信じているから音楽を聴かせたり、呼びかけをするわけですよね。
ならば、「してはいけないこと」、「避けてあげるべきこと」の、悪い影響のことも、ちゃんと考えてあげてください、と云うのがこの未生怨からのメッセージです。
結局、自分たちが「嫌だな」と不快に思うことは胎児も嫌だし、心地よいと思うことは胎児も同じ・・・
なので、そのへんのことを考え接してあげさえすれば大丈夫です。
ちなみに、胎教音楽にはハートビートなリズムが、お母さんの心臓音と一緒で胎児には良いそうです。
ドン ドン ドン ドン♪ というあのテンポの曲ですね。(^^)v
そしてそして、もうひとつ余談ながら。(^^ゞ
有名な話しかも知れませんが、ひざを抱えたように丸まって眠る人は、胎内での心地よさを思い出し楽しんでいると云いますね。狭い場所や、暗い場所が好きな人も、そうなのかも知れません。
あと胎内に関係する話で、水がありますね。水が好きな人、怖がらない人は、胎内環境・・・お母さんのお腹の中、羊水の中での状態が良かった人。反対に水が苦手な人は、あまり胎内での居心地が良くなかった人である、とも云われたりします。
お風呂が億劫で、早風呂の人もそうなのかも知れません。(^-^;
それとこれは究極的(?)ですが、早産で生まれた人は、お腹の中での居心地が良くなかったのかなぁ、、とか。。いやいや、早く産まれて、やりたいこと、確かめたいことがあったのかもしれませんよね。
もちろんこれらの話も、すべてがそうである、とは云えませんが、なんとなくうなづけちゃったりしますよね。(^-^;
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