補足 自己愛・ナルチシズム

自分に対する愛に陶酔しきった幼児性欲(自体性欲)を
第一次自己愛(第一次ナルチシズム)、
そしてその後、再び生じる自己愛を、第二次自己愛
(第二次ナルチシズム)と云い、フロイドはその2つ
を明確に区別しました。


幼児性欲=第一次自己愛 

第一次自己愛で、人間は
「自己を自己として発見する」
つまり、自分を発見するわけです。

もしこの発見がなければ、いつまでも自分と他者の
区別がつかないままになりますから、ある意味、
とても重要な時期です。


そして他者を知り、他者を愛するようになり、
この第一次自己愛は役割を果たします。

つまり、強烈だった自己愛がほどよく薄まり、
自己と他者のどちらも愛せるようになるわけです。


しかし、思春期以降、何らかの理由で、
他者に向かっていたエネルギーが自己へ戻り、
自分だけを愛する自己愛が再燃してしまう場合が
あります。

これを第二次自己愛と呼び「正常ではない自己愛」
としてフロイドは第一次自己愛と明確に区別して考え
たわけです。

つまり、自己愛はその役割を終えると減少し、
若干は常に残るし、ときには増加することもあるが、
それは一時的なことであって、自分だけを愛する状態
が常に続くことはない、と考えられています。

したがって、この第二次自己愛の状態である場合、
何らかの精神疾患を疑うことになります。


ただし、例外的に・・先ほど書きました
「ときには増加することもある」のケースとして、
睡眠中に見る夢があります。

外界との関係(外界への関心)を遮断した睡眠中は、
精神がすべて自己に向かいますから、当然、見る夢も
自己愛的になるわけですが、もちろんこれは正常な
自己愛です。


『夢』といえば、将来、自分が望むようになりた
いと思う願望の夢も、きわめて自己愛的では ありま
すよね。

もちろん、いずれの夢にしても、自分の時間や自分と
向き合う時間も、人間には大切ですから、そうした
自己愛が完全になくなってしまっても困るわけです。

ただし、自己愛に限らず、やはり何事もほどほどが
良いことは云うまでもありません。

 

 

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