神経質のせい、にしてませんか?

よく「自分は神経質せいで、何事も上手くいかない」
という話を聴きます。

つまり
「神経質でなければ、自分の人生はもっと良いはず」
というわけです。

たしかに「神経質でなければ乗り越えられた」という
場合だってあると思います。こだわりが強過ぎて、
上手くいかないことだってありますからね。


でも、それを「神経質のせい」で片付けてしまったら、
自分が苦しくなりませんか?

なぜって、神経質は自分の性質なのですから、結局は
「自分自身はダメなヤツなんだ」と自己否定している
ようなものですから。

ん?ややこしいですか(^^:

つまり、「オレのせいじゃない」と責任を逃れたつも
りでも、自分の性質(持ち物)のせいにしちゃった為に、
それがブーメランのように戻ってきちゃってますよ、
という話です。

もっとも責任逃れしちゃった時点ですでに自己嫌悪で
しょうから、それがブーメランで戻ってきたらダブル
パンチ・・ですね。(^^:


さて、とにかく
神経質のせいであろうと、誰のせいであろうと、
このまま(逃れたまま)ではいけないですよね。

おそらくまた次も同じことの繰り返しが起こるでしょ
うから、ここで何とか解決しておきたいですよね。

と云うより、神経質くんが悪者ののままでは可哀想
ですし。(^^:

では、みなさんと一緒に解決してゆきましょう。
いざ。(^.^)

    
まず「自分は神経質せいで、何事も上手くいかない」
と思っているわけですから『神経質が原因』という
心当たり(根拠)があるはずです。

ならば、それを検証していけば、
逆に『上手くいく手掛かり』が見えてくるはずです。

何事にも『良い面、悪い面』の二面性がありますから、
仮に神経質が『失敗の原因』であるなら、その裏面に
は必ず『成功の原因(?笑)』もあるはずです。


そこで、今回のテーマを提供してくれた彼、
「自分は神経質せいで、何事も上手くいかない」
と云った彼に再び登場して頂き、実際に『上手くいか
なかった』場面を再現しながら検証してみたいと思い
ます。

彼は営業マンのAさんです。(※もちろん仮名・・い
や架空の人物。話も創作です。^^;)

彼はとても真面目で研究熱心で、
自社の製品を愛しており、営業課でいちばん製品に
精通しています。

ただ彼自身が云うように「何事も上手くいかず」、
営業成績はいつも下位です。

彼には製品に絶対的な自信とこだわりを持っており、
売り込むときにもそのポイントを強調し、
「この良さは絶対に間違いありません。ぜひ御社に
導入して頂きたい。絶対に損はさせません」
と頑張るわけですが、いつも
「今回は見送らせてもらうよ」
と商談が成立しないのです。

彼は酒の席で同僚に、
「説明は聞いてくれるし納得もしてくれるのになぁ」
「製品の勉強してるから説明には自信があるし」
「神経質で細かいから、相手に退かれちゃうのか?」
などと漏らしておりましたそうな。

たしかに彼はエンジニアにもなれるくらい、製品の
細部まで詳しく研究しています。

そして彼は自分が提案し採用された『自動スイッチ』
に強いこだわりと自信を持っていて、
「絶対に売らなければ」と強い意気込みなのです。


さて、彼の営業が成功しない理由はどこにあると思い
ますか?

と、いきなり云われても、これだけの説明文ではわか
りづらいかもしれませんが、いくつかヒントを散りば
めてみました。

では一緒に検証してみましょう。

本人が云うように、彼は神経質性格の特徴である繊細
さや粘り強さで、製品を細かく研究し、自信を持って
得意先の担当者に説明したと思います。

だからきっと、その話には説得力があり、納得もして
もらえたと想像できます。

しかし、それが営業として、どうなのか・・・
は別の話ですよね。
第一、いくら説明に拍手をもらっても、売れない
のでは話になりません。


では視点を、買う側の立場で見てみましょう。

たぶん彼の説明で製品に魅力を感じているかもしれま
せんが、買うとなると、それだけで十分納得できるで
しょうか。

みんさんが買う側だったら、どうですか?

僕が買う側なら、営業の彼から聞きたいことは、
最終的な値段は? アフターは? 
どの程度の保証があるの?
と、品質以外のことだろうと思います。

しかし彼は、そのことについて、ちゃんとお客さん
目線で話ができていたのでしょうか?

このへんが大きなポイントですよね。


たとえば、製品の詳しいことは、商談がある程度煮詰
まってきてからエンジニアを同行させ説明させたほう
がお客さんも安心する場合もありますよね。

しかし彼は製品を愛するがあまりに、製品説明に力点
を置いていますが大丈夫でしょうか?

つまり彼は、製品に愛情とこだわりを持ち過ぎて、
本来の営業の役割を忘れてしまっているのではないか
と僕は推測しました。


さて、みなさんはどう思われましたか?

仮に僕の推測が当たっているとすれば、
彼の中の『神経質くん』は、持前の繊細さと粘り強さ
を発揮し、ちゃんと彼に忠実に働いています。

これで悪者扱いされてしまったのでは気の毒なくらい、
ちゃんと仕事をしています。(^^;)


では何が問題なのか?

それはAさんの神経質の発揮の仕方(使い方)・方向性
が誤っていたのかも知れません。

もし仮にAさんが、はじめから
「『お客さん目線』が営業には肝である」
と、お客さんが知りたいこと、望むことの勉強と実践
を、神経質性格を発揮して頑張っていたら・・・
どうでしょうね?

思うに、彼ほどの繊細さと熱心さ(粘り強さ)があれば
『最強の営業マン』になれるのではないでしょうか。


・・と、たとえ話が長くなりました。(汗謝)

ここで僕が申し上げたかったのは、どんなに優れた
能力も『使い方』次第、と云うことです。

そうでないと逆に優れているだけに、自分を傷つける
だけになってしまう。つまり、諸刃の剣ですね。

たしかに神経質という性格は、扱い(使い方)が難しい
かもしれません。

しかし、ちゃんと目的(方向性)さえ間違わずにいれば、
これほど役に立ち信頼できる相棒は、おそらく他には
居ないと思います。


最後に、神経質の特徴から、その能力を最大に活かす
ヒントを一つ申し上げるなら、

内ではなく外です。

彼も自分の神経質を『外』に向かってその能力を使えば、
間違いなく最強無敵な力を発揮できるはずです。


さて、あなたの『神経質くん』は如何ですか?
悪者になっていませんか?(^^:

ぜひ、いちどチェックしてみてください。

そして宝の持ち腐れにならぬよう、
『神経質くん』に、
その能力を発揮させてあげてくださいませ。d(-_^)




 

 

・当記事は1998年に執筆者のプライベートサイト
に掲載したものです。
尚、時間経過により陳腐化した箇所のみ加筆、修正し
ました。また文章はスマートフォンで読みやすいよう
編集してある為、パソコン画面では読みづらい部分が
あるかもしれません。あらかじめご了承ください。


 
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