さて、長々とした記事にお付き合い頂きありがとうご
ざいました。
症状のつらさから抜け出すことに、この記事たちが
少しでもお役に立つことができましたら、執筆者と
してこれほど嬉しいことはありません。
どうぞ、晴れて陶冶の日が迎えられるよう、つらさに
負けず、日常生活を頑張り続けてみてください。
最後に、心掛けてみて頂きたいポイントを記して、
記事『神経質症について』を終わりたいと思います。
①練習は、百害あって一理なし。
よく苦手な乗り物に練習で乗ったり、苦手な会話の
克服にと会話教室へ通ったりすることがありますが、
あまり感心出来ることではありません。早く回復した
い一心は分かるのですが、それでは反対に回復を遅ら
せてしまいます。
その理由は、練習が症状を意識してのことだからです。
他の章でも書きましたが、症状は意識すればするほど、
頭から離れず固着してしまいます。
それでは何の為の努力か分かりませんよね。
また、仮にその練習が上手く行ったとしても、人生は
筋書きのないドラマ。すべてが練習通りに運べば良い
のですが、そうならないことは、みなさんも良くご存
知だと思います。せっかく自信をつけたのに・・・と、
落胆も大きくなってしまいます。
人生に練習はありません。毎日が実践です。
それと同じで、神経質症が治ると云うことは、
意識されたものではなく、実践から自然に生まれる
産物なのです。
気が付いたら症状を忘れていた。
そう云えば、症状が出てない、いつからだろう?
しかしあの苦しさは何だったのだろう・・・?
そんな感じですね。(^.^)
②あわてないこと。
不安(パニック)発作や、対人緊張が始まると、つい
何とかしようと自分なりのおまじないをしてしまうこ
とがあります。
それをはからい(小細工すること)と云って、症状を
強めてしまう(精神交互作用の)原因となります。
また仮に、その場はしのげても、①に書いた事と同じ
症状に対する意識を深めることになり、いつまでも予
期不安から開放されない悪循環を作ります。
苦境に立つと、ついあわててしまうのも人情。
でも、辛いときほど、落ち着いてください。
あわてふためくと、さらにパニックになるのは、
人間誰しも同じ。当たり前のことなのです。
どうしても症状から目が離せなくなったら、ちょっと
居直って「この先、どうなるかな」と症状を観察して
楽しんでやりましょう。つまり、症状に追われるので
はなく、反対に症状を睨み付けてやるのです。(^^:
だっていつも追われてばかりでは、悔しいではない
ですか。(ーー;)(笑)
でも、それくらい出来るようになったらシメタもの。
それほどの冷静さが持てたら、もう症状にあわてる
こともないと思います。
一呼吸おいて、ゆっくり対処すれば、実は症状なん
て、なんてことない のです。(^-^)
③それぞれの働きに任せておけば良い。
どんなに健康体と云われる人でも、曇り一つない完調
な日が1年に何日あるでしょうか。具体的な調査は
ありませんが、おそらく年間に10日程度でしょう。
頭が重い、胃腸が重い、気が重い、
太りすぎて身体が重い・・・(^_^;)(苦笑)
人間、どこかしら心身に重さを背負いながら、
生活しているものなのです。
ただ、それをいちいち云わないのは、そんなものだと
思っているからですし、云っても始まらないことを知
っているからです。
でも、そうしたことを敏感に感じてしまうのが神経質。
必要以上に気にしてしまうのが神経質症なのですよね。
勿論、身体の不調は気になるものです。心の不安・
動揺も気になるものです。それは健康でありたい、世
の中に上手く順応したいという、自然な気持ちです。
しかし、そんな不調は身体の治癒力に任せてしまいま
しょう。不安も心の働きに任せてしまいましょう。
つまりは、クドクドと考えないってことです。
あなたが考えるべきこと、行動すべきこと(脳の仕事)
は、他にたくさんあるのです。
そう、勉強や仕事・家事などの『いますべきこと』が、
あなたの役割です。
不調に対しては、身体と相談して回復に無理のない
行動を取れば良いだけのこと。
不安に対しては、何が不安なのかを知り、必要最低限
な注意を払うだけでよい。
このように、心と身体に、思考(脳)が越権しない
ようにして、上手く連絡を取り合い分担して行けば、
(不調なりにでも)全体のリズムは整います。
別の項目で、『心・感情』と『脳・思考』は別の働き
という話を書きました。
神経質者は脳が働きが良すぎて、時に心の働きにまで
口を出す、越権行為に及んでしまいます。(^-^;
つまり、不安が起これば「早く鎮めなさい」と口出し
するのですね。(笑)
しかしこれは大きなお世話で、余計に不安を煽り、
混乱を来たす元凶になります。
何事にも云えることですが、
やはりそれぞれの機能を信じて、
任せることは大切なことなのです。(^.^)
④症状が辛いからと、
仕事や学校を辞めてはいけない。
神経質症の鉄則に
『仕事や学校を辞めるなら、克服してからにしろ』
があります。
症状は辛いですから、辞めたくなるのも人情ですが、
そこで辞めてしまっては、さらに自分を苦境に追い
込むだけになってしまいます。
例えば、今の職場であれば、慣れた仕事であり、ある
程度の人間関係も築けていますから、周囲にも多少の
無理が利きます。 しかし新しい職場では、すべてが
一から出直しで、人間関係にも無理が利かず、イタズ
ラに自分を追い込んでしまうだけ・・・が、その主な
理由です。
勿論、その職場に、明らかな発症の理由がある場合が
ありますが、その場合でもせめて休職して辞めること
は極力避けたほうが賢明です。
神経質症の場合、その症因の多くに、自己の性格的な
問題が隠されており、どこへ行っても同じ結果を招く
場合が多いです。
したがって少なくとも転職は、その性格的な問題を
認識し、改善してからの方が賢明だと思います。
また森田に『迷いの中の是非は是非とも非なり』
と云う戒めの言葉もあります。
是(正)であれ非(誤)であれ、どちらも正しくはない。
つまり、症状という正常な判断のできないときに決め
たことは、あまりアテにはできず、あとで後悔するよ。
だから症状があるときは大事な決定は避けるべき、
という意味です。
⑤何事も、60%で満足すること。
神経質は、完全欲の強い欲張り者です。
なんでも完璧に行かないと気が済まない。
でも、世の中に完全はありません。
むしろ物事の多くが、思い通りに行かないのが、
普通なんです。
野球だって、打率3割を打てば一流ですよね。
つまり、10回のうち7回は凡打でも一流なのです。
何事も60%も成就すれば上出来と喜びましょう。
ちょっと物足りないかも知れませんが、神経質には、
それくらいがちょうど良いのです。(^.^)
⑥日常の五心
「はい」という素直な心
「ありがとう」という感謝の心
「すみません」という反省の心
「おかげさまで」という謙虚な心
「わたしがします」という奉仕の心
この五つの言葉は、神経質症になると、どうしても
欠けてしまう心だと思います。
とくに素直である、感謝する気持ちは、失いがち
ですが、大切ですよね。
物事に素直な気持ちが持てることは、自他を受け入れ
る入り口になります。
そして感謝する気持ちは、自己中心的な気持ちが離れ、
気持ちが外向きとなり、周囲との調和が持てる
入り口にもなります。
ともあれ、この五心が、たとえ除々にでも分かって、
生活にも自然に取り入れられるようになれば、
心も「あるがまま」で柔軟な働きを取りもどすこと
でしょう。
そうなれば、不安も当たり前のものとなり、
晴れて神経質症も卒業出来ると思います。(^.^)
に掲載したものです。
尚、時間経過により陳腐化した箇所のみ加筆、修正し
ました。また文章はスマートフォンで読みやすいよう
編集してある為、パソコン画面では読みづらい部分が
あるかもしれません。あらかじめご了承ください。