神経質は直す、ではなく、活かすもの

よく「神経質を直したいけど、どうしたら良いか?」
という相談を頂きます。

心底、ツライのだろうな・・・と思いつつ、
「神経質は直らないし、直す必要もなく、活かすもの
ですよ」と答えさせて頂いています。

そうすると一瞬、驚いたような、困ったような・・・
いや、落胆や、怒りかも知れませんが、とにかく
複雑な表情をされるので、

「じゃあ直すって、どのようになりたいのですか?」
と質問させて頂くと、一様に
「(細かなことが)気にならないようになりたい」
という返事が戻ってきます。

「つまり、無神経というか、鈍感になりたい?」
「まあ、そこまでじゃなくても、少しだけ鈍感に」
「調節ダイヤルでも付あれば、って感じですかね?」
「あはは。まさに、そんな感じです(^^;)」


分からなくもないです。
僕自身、そう思ったことが何度あったか・・・。


まあ、調節は無理でも、無神経(鈍感)になれる方法と
いうのか、そういう状態になれなくもない、のですけ
どね。

ただ、そういう状態になると、極端に無気力なって、
すべてのことを放棄してしまうことにも。

つまり「どーせ、どんなに頑張ったって報われないの
だし、もー、どうだっていいや」と、張り詰めていた
糸がプッツンと切れてしまったようなものですね。

たとえば象徴的なエピソードとしては・・・

潔癖性格で、家の隅々まで磨いていた人が、(次第に)
ちょっとした汚れも許せなくなり、あげくに「どうせ
完璧にできないのなら」と、掃除どころか散らかり放
題の部屋で過ごすようになってしまう・・・など。

もちろん「そんなふうに、なりたいですか?」
と云っても、なりたいワケがあるはずもなく・・・

でも神経質な人が鈍感になると云うことは、それくら
い極端なことですし、まして性格の一部分だけ都合
よく鈍麻させることなど、そもそも不可能なのです。


ただ、僕たちは「神経質」というと、一年中、四六時
中、ピリピリと過敏という印象を持ちますが、
そんなことはナイですし・・・だいいち身体がもち
ませんし(笑)・・・、

それに、いつもいつもすべてのことがマイナスに
働いているわけではないのです。

つまり、おそらく知らないうちに、神経質の良い面の
恩恵も、かなり受けています。

たとえば、人の気持ちがよく分かる。
重要なことを予見(予知)できる。

などなど、そうした能力のお陰で、無難に過ごせる、
危険な目に遭わずに済むなど、ずいぶん助けられて
いるはずなのです。

もっとも、そういうことが自然に「分かってしまう」
神経質な人にとっては「それが当たり前」のことです
から、役立っているとか、助けられているという実感
はないかも知れません。

まして、神経質で悩まれている方にとっては「それが
もっとも嫌なこと」で、余計なことまで感じてしまう
から、いつもピリピリしてつらいのですよね。


しかし、ともあれ、それって実は物凄い能力だし、
心をもつ人間としては最高級な持ち物なのだ
と云うことだけは覚えておいてください。

しかも、欲しくても手に入らないですからね。


さて、話があっちこっちに行ってしまいそうなので、
(すでに行ってる?笑)話を核心に向かわせましょう。

少なくとも今、神経質で悩み「直したい」と思って
いる人は、いままで神経質の良さや、その能力の凄さ
を実感できずにいる方だと思います。

ならばぜひこの機会に、実感してみてください。

あなたは、その細やかな心のお陰で、相手が何を求め
ているのかを察することが出来るのです。

そして、これから必要になるであろう事を、事前に
感じ取り、先回りの出来る能力を持ち合わせている
のです。

断っておきますが、これは万人誰しもが
「そうである」わけではありません。

神経質という、ある意味、特殊な性質に
そのような能力が含まれているのです。

もちろん、嫌なことまで感じ取ってしまうのですから
「たまったものではない」ことなのは分かりますが、

そのぶん、活かし方によっては人間として最高の喜び
と誇りを得ることができるのです。

これは保証します。


ならば具体的に「どう活かしたら良いのか?」
の活かし方ですが、

とにかく、人に尽くしてみてください。

いままで「迷惑や苦労をかけたなぁ」と思うご両親で
も、周囲の人でも良いですから、洗濯でも、皿洗いで
も、どんなに小さなことでも構いません。その人たち
の「ためになる」ことを考え、手伝いを続けてみてく
ださい。

そうすれば必ずそのうち、あなたの神経質は大いに
活かされ、あなた自身も、自分自身の大きな変化に
気づくはずです。


なんて、よく英文を直訳したような、こんな文章を
目にしますよね。(^^:そして何となく「うさん臭さ~
い」と思ったり。(笑)

でも書いてあることは本当です。


では最後に、その根拠を書いて、この章を終わりたい
と思います。
と云っても、これはもう、云わずもがな・・・と申し
ましょうか(^^:、

前章(修正法 教えます)でも書いたことなのですが、
神経質は、
細かなことに気がつくという良い面と
気持ちが自分に向き過ぎているという悪い面
を持った性質ですから、それを活かすには、

その悪い面(内向き)を、外向きに変えて行く
努力をするのみ、なのです。

つまり、
その細やかさを自分の為ではなく他人の為
に使えというわけです。

もちろん、云うは易し行うは難しで、簡単なことでは
ないと思いますが、でも、少なくとも自分を変えて
行こうとするこの努力は、無意味ではなく、
心のバランスをとるという、大きな意義と、効果が
ある、ので是非にでもおススメします。

それは・・
前章で、自己チューという言葉を用いたので、
ここでも使うとするなら、

神経質は、
細やかさという成熟した大人の精神(心)と、
自己チューという未熟で幼い精神が同居して、
それがまた過度(両極端)に、引っ張り合ってしまって
いるからつらいのです。


つまり神経質だからつらいのではなく
「心のアンバランスが、あなたをつらくさせている」
と云っても過言ではないのです。

ならば、細やかな部分(長所)はそのまま伸ばしつつ、
内向きな部分(短所)を修正して行ってあげれば、
心のバランスも取れるようになり、

周囲に喜ばれ、自分も嬉しい・・・
といった、すべてに良い活かし方ができるわけです。


如何でしょう。とにかく、

神経質は直すものではなく、活かすものである、
と云うことを、いつも心の中で思ってみてください。
必ず活かす道はあるものです。   




 


・当記事は1998年に執筆者のプライベートサイト
に掲載したものです。
尚、時間経過により陳腐化した箇所のみ加筆、修正し
ました。また文章はスマートフォンで読みやすいよう
編集してある為、パソコン画面では読みづらい部分が
あるかもしれません。あらかじめご了承ください。


 
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