「答え一発、カ○オ・ミニ」
30年ほど前、そんなCMとともに電子計算機
(電卓)が、一般家庭に入り込んで来ました。
いまにして思えば、それが『ハイテク普及元年』
とでも云えるでしょうか。
それに前後したテレビというメディアの普及あた
りから、人間の脳(思考の)能力は大きく変化した
・・・進化であれば良いのですが、退化の道を
歩み始めたように思います。
要するに、わざわざ頭を使わなくても電卓が計算
の答えを出してくれるし、わざわざ想像力を働か
せなくても、ご丁寧にテレビがいろいろな情報を
運んでくれるので、それさえ鵜呑みにしていれば、
我々は脳細胞を使う必要がなくなってしまった
のですね。
それでも、
「ちゃんと考えているし、脳は使っているよ」
という云い方も出来るのですが、それは消極的
(受け身的)な使い方であって、決して何かを
産み出すという使い方ではないと思います。
そうなると、太古の昔に海中で生活した動物が、
陸に上がり泳ぐ能力を失ったのと同じように、
人間の脳も退化するのではないでしょうか。
何事においてもそうですが、進化には長い時間
を要しますが、退化することには時間はかかり
ません。
我々の持つ遺伝子だって、猿人が人間に変わった
ように、決して、いつまでも一定的ではないの
です。
もっとも私は、遺伝子については素人なので、
あまり知ったような事も云えないのですが、
そんな私にすら、人類全体の質が悪くなっている
ことだけは確信できてしまうのですから、
かえって怖いです。
メディアやコンピューター(人工脳)の発達で、
人間の脳がいちばん退化したと思うのは、
想像力と応用力です。・・・もっとも、この
2つは、人間の生命線なのですが・・・
考えずして出てくる答えや、一方的な情報は、
「どうして、そうなったか?」
の想像力を削ぎます。
なので、目に見えるものに対しての判断は、それ
なりに出来るのですが、
「これから、どうなる」
の想像が働かないので、予測も防御もできない、
無防備な状態に陥ります。
重ねて最近「まずいなぁ」と思うのは、
応用力の欠如です。
「こういう場合には、こうしなさい」という
マニュアルの範囲であれば動けるのですが、
もともと予測能力が鈍化しているところに、
マニュアルから外れた現象が起こってくると、
応用力がありませんから、もう手も足も出せない、
文字通り『お手上げ状態』になってしまうのです。
どんなにマニュアルを作っても、その通りに
「事が運ぶこと」など、まず無いですからね。
そんなとき起こるパニックは、パソコンでいう
フリーズと同じです。
そう・・・人間がロボット化してしまった、
と云うのは、そういうことなのです。
決まりきった作業には強いが、予測できない事態
にはフリーズしてしまうほど、人間の脳力(能力)
は、いつの間にか退化してしまったのです。
また、その辺のジレンマが、イライラや、神経症
のような症状を呼び込んでいるように思います。
いま、学校が完全週休二日制になり、学力の低下
を懸念する声があがっていますが、心配する必要
はありません。 もうすでに、学力はおろか、
人間の脳は退化しているのですから。
と、ここで皮肉を云ってる場合ではないですね。
では、どうしたら良いのでしょう?
その答えは簡単ですよね。
コンピューターや機械・・・強いては便利さに
頼らず、もっと手足、そして頭を使って、
人間本来が持つ(眠った)能力を引き出してあげ
ることです。
頭を使うということは体力を使うことなので、
手足、身体を使い人間はもっと頑健になるべき
です。
身体の隅々まで血行を良くして、動くことを面倒
と思わなくなれば、自然と脳も活性化してくる
という云い方もできると思います。
ともあれ、
「快適」、「簡単」、「便利」は、
人間の心身を蝕み、確実に退化させます。
言葉悪く云えば、人間をダメにしたかったら、
この3つを与えておけば良いのです。
つまりは
「文明の利器に頼り切った横着はいけない」
と云う事ですね。
※もちろんメディアを悪者とは考えていませんし、
むしろ良い面は、どんどん活用すべきだと思って
います。
しかし、もしメディア(テレビ、本、雑誌・・・)
を活用するのであれば、その情報を鵜呑みにする
のではなく、情報の違う側面について想像力を
働かせてみると良いと思います。
つまり、国会の証人喚問や裁判の報道を、ただ
漠然と見るのではなしに、疑われている人の素顔
などに思いを馳せて、
「もし自分が、その人の立場だったら」
と考えてみるだけでも頭の体操になりますし、
「自分なら、たぶんこうするだろう」
というシュミレーションを働かせることで、
想像力も応用力も養えると思います。
もっとも、悪いことの応用力も養えてしまいます
が・・・
そのへんを上手く抑えることは、理性を鍛える
る訓練にもなると思います。
と、最後はかなりこじつけです。
2002.5.1
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