その回復への提案(5) 家族関係の見直し

五つ目は、家族関係の見直し・・再確認です。

いまさら、大家族が良かったとか、核家族は良く
ない などとそんな野暮なことを申しあげるつも
りは毛頭ありません。

ただ、家族という単位は、人間の心を育むうえ
で、とても重要で、ただ寝食を共にするという
関係だけではありません。

この家族関係がどうであるかによって、その人の
人生観や世界観も違ってしまうのですから、

そうした意味からも、
家族の在り方を考えることは大切だと思います。


まず、
子供が初めて知る社会が家族であるということ。
文字にしたら「たいしたことない」ように思え
るかも知れませんが、子供にとっては、
「すべてが初めてのこと」
ですから、その影響力は、おそらく大人が考える
以上に大きなものです。

そして子供は、家族を通じて、
『自分の存在を感じる(確認する)』ことになり、
これも私たち人間にとっては、とても大きな
ことだと思います。

たとえば、もしそこで、
自分の存在を上手く感じ取れなかった場合、
少し大袈裟に云えば「自分が何者であるのか」
のアイデンティティーの確立すら危ういことに
なるかも知れません。

それほど人間にとって、まして子供にとって、
家族は自分の基礎(ルーツ)なのですから、
やはり真剣に考える必要があると思います。


しかし誤解して頂きたくないのは、
それが必ずしも、両親が揃っていて、一戸建てで
などという家族構成や、住まいの状態を意味する
ものではない・・ということです。

乱暴な云い方をすれば、家族全員が血の繋がりを
持たない同士であっても、
「これが自分の家族だ」
と心の底から思えるのであれば、それは立派な
家族関係と云えるのです。

つまり、そこで一番大事なのは、
愛情という心の繋がりであり、
自分にとって心が休まる関係(場所)である、
と云うことではないでしょうか。


たとえば、よく、
大混雑に揉まれながら盆暮れに帰省しますが、
あのとき感じる『居心地の良さ』は、なにも郷里
の空気の良さだけではないと思うのです。

あるいは、お嫁さんだったら、自分の実家や、
夫の実家へ行って、それから自分たちの住まい
に帰るとホッとしますよね。
「狭いながらの楽しい我が家」と。

あれだって、『自分の居場所』、つまり
「そこが自分の居場所なんだ」
と感じることが出来るから「ホッ」とする
のですよね。

そんなことが感じられる相手や場所が家族です。


話がまた、とっ散らかってしまいましたが、
そうした落ち着ける場所が家であり、家族なの
ですから、私たちはもっと、その家族に関して、
もっと真剣に考えないと、そうした場所をも
失っていくような気がします。

何かを守るというのは、とても大変で、ときには
煩わしいことも多いものですが、大変なことは
避けて、安住の地だけ欲しいは、違いますよね。

真剣に受け止め、必死に頑張るから、家族がいと
おしく思えるのですし、そこに喜びや、大切さも
生まれるように思います。

自分たちが安らげない場所は、子供にとっても、
安心できない場所なのです。

  
歴史は家族制度を、『家・家系』を重んじ過ぎて
失敗しました。
それは、本来主役であるべき、自分たち人間への
尊重を忘れてしまったからです。

本来なら、人が居て、家族があって、家がある
が本当ですからね。

そうした事を意識しながら、これからの家族関係
を見直すことも、急務なのではないでしょうか。

 

 

・当記事は2002年に掲載したものを加筆修正し
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